教師時代、保護者の方に感謝した話

教師を約20年やっていて、親のさまざまな要求を受けてきました。ほとんどは、こちらの見落としやミスに対して、やさしく教えてくれるという方が圧倒的に多かったです。ただ、その中のごく1部が本当に大変になることがありました。

そして、この一部を解決するためにものすごく時間を使うことが大きな問題だと思いました。

それでも、モンスターペアレンツという言葉は私は嫌いです。

なぜなら、確かに要求や言ってることが理不尽だったり理屈が通らないこともありましたが、それでも、その方は、本気で悩み本当に苦しんでいたり子どものことを思ってやっているからです。

そして、このモンスターペアレンツという言葉を生んでいる原因は、やはり、教師の仕事範囲がはっきりしていないからだと思っています。

だから、保護者の方も、要求がエスカレートしてしまうわけです。

だからといって制度のせいにしても仕方がありません。教師として必死に子どもたちのために働いている先生方に対して、「自分の思い込み」を押し付けてはいないかという部分は、しっかりと振り返るようにはしたいなあと思います。

今回は、教師をしていたときに、保護者の方に感謝していることの話をレポートします。

 

 

とっても素敵な保護者の方たち

① 私立受験書類作成で大失敗した私に・・・

初めて6年生を受け持った私の学級にも私立受験をする子が何人かいました。

この私立受験をする際、子どもたちは書類を持ってきます。この持ってきた書類に、過去の成績や所見(子どもの生活や学力を文章にしたもの)を書いて、見られないように封をして渡します。

ただ、この持ってくる書類は、受験する学校によって全く違うものでした。

その中で、受験票が書類に入っている子がいたのですが、私が誤って受験票も封筒に中に入れてしまったのです。そして、そのことに気づいたのは、かなり後だったのです。封をしてしまった封筒もその学校へ渡す特別な封筒ということもあり、今から開けることはリスクがあります。明らかに私のミスでした。

でも、保護者の方は、子どもにこう言ったそうです。

「先生も初めての6年生だから分からなかったのね。」

と。結局、訳を事前に受験する学校側に電話をしたところ、試験当日にその封筒を学校側で空けて受験票をお渡ししますということになりました。そして、わざわざそうなったことを私に連絡までしてくれました。

その子も無事に合格することができました。

 

それでも、ただでさえ不安な中学受験の中で、少しでも不備や不安が大きくなることはさけたいものです。

「先生のせいで、受験できなかったらどうするんですか?落ちたらどうするんですか?」

と、こちらに文句を言ってきてもいいところを、保護者の方がさっと対応して私も安心させてくれました。

 

 

② 校区探検で助けてくれた保護者の方

 2年生の担任をしてたときの話。子どもが骨折をして車いすで生活をしていました。そんな期間に校区探検をすることになっていたのです。

 この校区探検で引率は私一人。ある程度は、車いすでも大丈夫ですが、階段を登ったり狭いとところには入りにくい。そういうときに、教員に余裕があれば、他の先生も引率に付き合えるのですが、学校にそんな余人はありません。

 そこで、学級通信で補助してくれる方はいませんかと募集をしたところ、5人もの補助を引き受けてくれたのです。

 ただ、足を怪我した子がいるからという募集だとちょっと違うかなと思ったので、子どもたちの安全のためにグループごとに大人で見守ってくれる人を入れたいということで募集をしていました。

 私は、車いすのグループに入って、そこに保護者の方も1人ついていただきました。ある場所で階段を私がおんぶをして上がっていくと、

「次からは私がやりますよ。先生は、みんなを見てあげてください。」

と、率先して代わってくださったのです。さすがに、怪我をしたら悪いので階段は私がしましたが、安全そうなところならお願いがしやすくなりました。

 

 

③ 子どものトラブル解決不足に・・・

 ちょっと時代背景があるのですが、当時、下校途中に変質者が出たニュースや、通り魔的な人が出たニュースなどがあり、子どもだけで下校させられないということで、子どもたちが集団下校(先生の付き添い付き)で、ばたばたとしていました。

 そんな中、集団下校のため集合しているときに、子ども同士で喧嘩のようなことが起こりました。普段なら、ゆっくり話を聞いて解決してから下校となるのですが、集団下校で私自身も割り当てがあり、急いでいたため、十分に話を聞くことができなかったのです。

 普段は、しっかり話を聞くからこそ、今回の対応にギャップを感じたためか、子どもが家で「先生に全く話を聞いてもらえなかった」と、自分の気持ちがすっきりしていないことを親へ伝えました。

 いろいろありますが、こういう場合は、良くても「ちゃんと話を聞いてあげてください」と電話かお手紙を頂くことがほとんどだと思います。信頼関係ができていない場合は、その日のうちに、電話でクレームとなるでしょう。

 このお家の方は、先生の状況を予測して「今回は、先生も忙しくて時間が取れなかったこと」「明日必ず聞いてくれるよ」と伝えることで子どもを安心させてくれたようなのです。

 そして、電話で、その日のうちに「(上記)のように伝えていますので、よろしくお願いします」と丁寧に連絡してくださいました。

 次の日に、ゆったりと子どもの話を聞いて、しっかり解決できました。

 

 

こんなにも素敵な保護者の方たち

  ①に関しては、本当に私自身の不注意です。もっと周りの先輩に聞いて行動すべきところでした。私立の提出書類は、本当に学校によって違うので、気を付けなければいけないところ。②や③は、時間的余裕がないことと人員不足というところでしょうか?

 子どもの健やかな成長のためにも、担任ガチャやモンスターペアレンツという言葉を生む関係ではなく、もっとお互いに協力しあえる関係になりたいですね。

 

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