体育を得意にしてあげたい!【子どもの体力を向上させる】今からやるべき外遊びとは!

体育を得意にしてあげたい!【子どもの体力を向上させる】今からやるべき外遊びとは!

大学院で学校心理・発達健康教育を学んだJJです。

子どもをできるだけ外遊びさせたいと思うのですが、私は仕事で日中は関わることができません。

妻も下の子ができてからは、お昼寝のタイミングなどもあり、外で遊びにくくなってきました。

 

妻は、車で幼稚園に行かせようとしたのですが、私と話し合うことで、毎日、往復約1kmを歩いて幼稚園に行ってくれています。

そのおかげもあり、子どもは、普通に歩いてくれています。

 

とはいえ、外遊びは、健康にもいいし、子どもの知育にもいいと言われています。それは、本当なのでしょうか?

また、子どものうちに何をさせればいいのでしょうか?

習い事ではだめなのでしょうか?

 

いろいろ思っているお家の方も多いのではないでしょうか?

今回は、教育現場にいた立場と子育ての親の立場からお話したいと思います。

 

 

子どもの体力の低下ってどれくらい?

【1】昔と今の子どもの体力テストの比較

毎年、国は、小学校5年生(11才)を対象に、全国の体力テストの結果をまとめています。

平成29年度の子どもの結果と昭和60年の子ども(親世代)の結果を比べると・・・

昭和60年と平成29年の子どもの体力比較(男子)
親世代 今の子ども
身長(cm) 143.2 145.4
50m走(m) 8.8 8.8
ソフトボール投げ(m) 34 26.8

 

昭和60年と平成29年の子どもの体力比較(女子)
親世代 今の子ども
身長(cm) 145.5 147
50m走(m) 9 9.1
ソフトボール投げ(m) 20.5 16.3

こうやって比べると、身長は伸びて体格は良くなっているのに、走力も投力も落ちていることが分かります。足の速さはそこまで変わっていない感じがするかもしれません。でも、女子の0.1秒というのは、見た目の距離では、けっこう違います。他の体力テストを比較としたとしても、持久力や俊敏性は明らかに落ちている結果が出ています。

 

【2】体力が落ちている原因

文部科学省は、子どもの体力低下の原因をこのようにまとめています。

1.保護者をはじめとする国民の意識の中で、外遊びやスポーツの重要性を学力の状況と比べ軽視する傾向が進んだこと

2.また、生活の利便化や生活様式の変化が、日常生活における身体を動かす機会の減少を作っていること

3. 学校外の学習活動や室内遊び時間の増加による、外遊びやスポーツ活動時間の減少

4.空き地や生活道路といった子ども達の手軽な遊び場の減少

5.少子化や、学校外の学習活動などによる仲間の減少

さらには、便利になった社会が、意図的に運動をしようと思わないと体を動かすことができないようにしていることも無視できません。例えば、車やエスカレーターなどがその例だと思います。また、「よく食べ、よく動き、よく眠る」(調和の取れた食事、適切な運動、十分な休養・睡眠)という健康3原則をふまえた基本的な生活習慣を身につけることも重要であることを述べています。しかしながら、現代社会は、核家族化が進み、両親共働きの家も増え、親が十分に子どもと関われない家も増えています。そうした背景も強くあるのかもしれません。さらに、体力や粘りず良さや根性といった側面よりも、学力や知識量を評価する社会が、現在の体力低下を生んでいるとも言われています。

 

【3】体力低下だけではない危険な子どもの状況

体力の数値だけ見ると、日常生活に困らなければいいんじゃないのと思う人もいるかもしれませんが、子どもに影響してることは数値だけではありません。24回目の中央審議会答申の資料によると、

「体を自分の意志で動かす行為は、神経系をはじめとする体の発達に伴って、高度なものになってくる。しかし、近年では、子どもが靴のひもを結べない、スキップができないなど、体を上手にコントロールできない、あるいはリズムをとって体を動かすことができないといった、身体を操作する能力の低下」

が指摘されています。

また、文部科学省の学校保健統計調査報告書による、

「1970年から2000年にかけて、男女ともに肥満傾向児の割合は増加していること。また、特に男子が各年齢層ともおよそ2倍から3倍に増加している状況にあることを指摘しています。そうした子どもの肥満の増加により、肥満に伴う高血圧や高脂血症などが危険視。さらに、将来の糖尿病や心臓病などの生活習慣病につながる危険性を有していること」

も、中央審議会答申の資料に書かれています。

 

【4】学校現場から見た体力向上に向けての取り組み

文部科学省は、当然、学校教育の中で体力向上に向けた取り組みを推進しています。それにともない、学校現場でも各校や地域で体力向上に向けた取り組みを行っています。例えば、休み時間に外遊びを推奨したり、体育の中で、ただ運動を楽しむだけでなく基礎体力の時間として始まりの〇分は、全校で決まった運動(体力づくり)に取り組んだりなどがそうです。また、〇月〇日や〇曜日など、日にちや曜日を指定して、地域で運動習慣を呼び掛けたりもしています。

しかし、学校現場では、昔に比べて学校が週5日になったこと、脱ゆとり・学力低下の改善によりカリキュラムが増加したこと、英語学習や道徳が教科化されたことなど、実質勉強の総時間は変わっていないのに、勉強量や教科が増えたことにより、どうしても、学力と大きく関係のない体育などは後回しにされる傾向があるのが現状です。そのため、運動会の練習を体育の時間としてカウントしたり、水泳学習の時間を削減したりせざるを得ないのです。

また、外遊びを強制的に推奨しようとしても、保護者から、「中で遊びたい子どももいる。本を読みたい子どももいる。」などの申し出があったりすることで、取り組めない学校もあります。

そう考えると、体力の向上は、学校教育だけに任せることではなく、家庭で取り組むべき課題の1つでもあるといえるでしょう。

実際に、文部科学省は、外遊びや親子スポーツなどの運動も進めています。

各家庭が、子どもの健康と将来のために、意識的に体を動かす時間を作ってあげることが必要不可欠です。

 

外遊びのメリットとは

【1】脳の活性化

室内の刺激は限られています。小さい頃に、外にでていろいろな遊びや遊具、自然にふれることで、5感が刺激され、子どもは、いろいろなものを感じる力を養います。また、好奇心も旺盛になります。多くの情報を取り入れ、それを処理する認知能力の向上も期待できます。室内では、テレビや与えられた遊びとなり、自分で考えたり、自分で行動したりする力をつけることが難しいでしょう。

 

【2】体力・調整能力の向上

当然、外では、思いっきり走り回ることができたり、いろいろな遊具を登ったり、アンバランスなところを歩いたりすることで、体の使い方を学んでいきます。

 

【3】社会性の獲得

外に出ると、そこにはたくさんの子どもが遊んでいます。一緒に遊ばなかったとしても、すべり台の順番を守ることを学んだり、逆に、ルールを守らない子がいたときの気持ちを自分が味わったりすることで、社会性が身に付きます。兄弟ではない友達とけんかをすることも、親同士の関わり方をみることも、子どもにとっては本当に大切な学びです。また、遊びの中では、自分よりも大きいお兄ちゃん、お姉ちゃんがいたりするので、その姿を見て、自分もやってみたいと思うことが増えていきます。そうした多くの子どもたちとコミュニケーションをとることも社会性を獲得していくために大切なことです。

さらに、公園や公園前の道のりには、自然の草木などがあり、触ってはいけないもの。危険な物なども学ぶことができます。道のりで、信号や近所の人に出会ったりすることも、家族だけでは養われない社会性を学ぶ大きなチャンスです。

 

【4】チャレンジ精神の向上

体力向上のためにスポーツ団体に所属させる人もおおでしょう。しかしながら、そうした団体に入るということは、子どもは、常に競争(比べられる)の中にいることになります。また、基本的には与えられたことをするだけが多いです。しかし、遊びの中でなら、一見何の意味もないけれど、「上り棒を上まで登りたい」「ジャングルジムの上を歩きたい」など、与えずとも、自分でやってみたいことを見つけて、それにチャレンジする経験を自然としていきます。

 

【5】生活習慣の改善

おもいっきり遊べば、お腹がすきます。また、疲れます。つまり、夜は、しっかりとご飯を食べて、ぐっすり眠ることができます。また、1日の中で太陽の光を浴びることも、夜に眠たくなる「メラトニン」というホルモンが分泌されるので、自然と早寝早起きが身についてきます。

 

 

家庭で取り組みたい外遊びのポイント

小さいころと大きくなってからでは違うでしょうが、小学校入学前の就学前段階で考えたいと思います。

【1】1日60分以上おもいっきり遊ぶ時間を作る

当然、共働きでは難しいでしょうが、お休みの日ぐらいは、こうした時間を作ってあげましょう。よくスーパーに出かけてごはんを食べて帰ってくるという話を聞いたりしますが、我が家は、必ず、そこに「公園」や「ピクニックのようなお弁当ランチ」などを取り入れるようにしています。雨の日は、科学館や室内で遊べる施設へ出かけておもいっきり遊ばせてあげています。

 

【2】親も童心に帰って一緒に遊ぶ

よく公園へ行くと、子どもが一人で遊んでいて、スマホをしている親を見かけることがあります。できれば、大きいお兄ちゃん、お姉ちゃん役になったつもりで一緒に遊んであげましょう。意外と大人の方に近づいてくる子どももいます(幼稚園の先生の影響?)。そこで、子ども同士をつなげてあげることもできます。当然、子どもが怪我をしないようにしてあげることも大切ですが、遊びをひっぱってあげることで、少しでも、難しい動きや遊具にチャレンジできるようにナビゲートしてあげましょう。

あと、大人の方が足が速いし力が強いのは当たり前です。だからと言って力を抜いてやることはできればさけたいものです。私は、おにごっこなら、「けんけん」で。相撲も「片足」で・・・など、ハンデをつけて大人もおもいっきり本気でできるルールを作るようにしています。そうするなかで、本気ですることのすばらしさを子どもは体験していくものだと思います。

 

【3】休憩時間もしっかりと自然を感じる

暑い日はとくに、しっかりと休憩をとることを教えてあげましょう。子どもは、楽しいと疲れものどが渇いたことも忘れてずっと遊んでいることがあります。木陰に入って一緒にお茶を飲みながら草木を眺めてお話しましょう。けっして、スマホや携帯ゲームにならないようにしてくださいね。

私は、草の色や花の種類、虫や鳥、雲の形の話をよくしています。そうすると、子どもの方からそうした自然を見て話をしてくれるようになっています。それが影響しているかは分かりませんが、図鑑をみるのも好きな子になっています。

 

 

子どもにつけたい力と遊び

基本的には、体幹とバランス能力をつけておきたいです。細かく見ると、瞬発力、俊敏性、柔軟性、粘り強さ(持久力)なんかも付けてあげたい能力になります。じゃあ、それに特化した筋トレやトレーニングでもつけることができるかもしれません。分解するとそんな感じになりますが、そうした力を総合的に、そして連動して付けることが大事です。

【1】ロープを登ったり、網を歩いたりする遊び

 ロープを渡ったり、ゆらゆらする網を渡ったりする遊びは、体が不安定になるので、意図的にインナーマッスルなどで態勢を維持しようとする体幹が働きやすくなります。そうした場所でおにごっこをしたり、リレーをするのもいいでしょう。当然、小さい頃は、それ自体を最初から最後まで渡ったり登ったりをチャレンジさせればいいと思います。頭を使わせたいところもありますが、体幹やバランス能力をつけるという意味では、体の使い方や足運びは教えてあげていいと思います。

【2】バランスボール

 バランスボールの上で膝立ちさせたり立たせたり、ジャンプをさせたりすることは、子どもにも体幹を鍛えるいい運動になります。はじめは、大人が支えてあげていっしょに楽しみましょう。意外と不安定な場所を子どもは好きなものです。けがをしないように取り組んでいけば、いつの間にか、バランス感覚も養われ、一人で膝立ちできたりするようになります。

【3】昔の遊び(竹馬、一輪車、フラフープ)

 昔の遊びとしてしまうのは少し間違っているかもしれませんが、昔からある遊びという意味でひとくくりにさせていただきました。これらも体幹やバランス感覚を鍛えるのにすごく効果的です。特に、フラフープは、大人にもダイエットで注目されているところもあるので、一緒に取り組んでみてはいかがでしょうか。

【4】ボルタリング

 最近の公園や施設には、意外とあるボルタリング。いわゆる室内のロッククライミングですね。腕の力も鍛えられることはもちろん、背筋力やバランス感覚、計画性などいろいろな能力の開発にいいと思います。

【5】くるくる回転する遊具や遊び

 最近は、危険な遊具としてぐるぐる回る系の遊具はなくなってきました。しかし、回転することは三半規管が鍛えられるので、揺れに強くなります。また、乗り物酔いもしにくくなります。

【6】平均台

 細くて少し高いところを歩くということは、自然と体幹が働きます。姿勢もよくなる効果があるので、ぜひ取り組んでほしいです。

【7】トランポリン

 最近は、室内用のトランポリンもあるので、ぜひ一家に1台置いてほしいですね。体幹も鍛えられますが、ジャンプしたりするタイミングを考えることで、リズム感や空中での自分の位置などの把握に強くなります。

【8】けんけんぱー

 室内でもできるリズム感と体の使い方を遊びで学べる簡単なものです。輪っかを用意して、1つは両足を閉じて、2つ輪は両足を開いて着地。ただこれだけですが、子どもは楽しそうにやります。すぐに、組み合わせを変更できるのもいいですよ。輪っかは、中でやるなら、ビニールテープをとりあえず、ぐちゃぐちゃにして輪っかぽくすれば大丈夫です。また、外でやる場合は、土に描いてしまえばいいでしょう。

【9】木登り

 通常の遊具はある程度、のぼったり持ちやすくなっていたりするので、だれでもいつか攻略できます。しかし、木登りは別です。幹の太さ、枝の位置などまったく登りやすいようにできてはいません。ぱっと見て、どうやって登ったら攻略できるのか考える必要はあるし、ときには、握らずに指の力だけでひっかけてのぼる必要がでてきます。休憩する場所や枝の太さなども考えて登るので、恐怖を克服する心を鍛えるのにはいいでしょう。今では、学校などでも木登りは禁止になっています。親の責任で、ぜひ体験させてあげましょう。肌が弱かったり、とげの刺さりが気になる人は、長袖長ズボン、軍手をつけさせてトライさせてあげましょう。

 

 こうした遊びや遊具を取り入れながらできる遊びは、子どもに考えてほしいですが、これらの遊具を使って遊べる基本的な遊びは、

  ・平地じゃないところでの鬼ごっこ

 ・チームに分かれてのじゃんけんゲーム

   ※2チームに分かれて決められたコースを反対からお互いに出発し、出会ったらじゃんけんをする。負けたら、下に降りて最短で自分のチームのスタート地点に戻ってもう1度スタート。勝ったらコースを進んでいくを繰り返します。じゃんけんに勝ち続けて相手のスタート地点に入ったら勝ち!!

 がいいでしょう。

 

 

まとめ

 いかがでしたか?

 ここにあげた遊びは、体幹やバランス感覚を養うのにいい遊びです。でも、そればかりをするのではなく、いろいろな遊びの中でいろいろな動きを身につけてほしいです。高いところから飛び降りたり、ふつうに腕相撲をしたり、手押し相撲をすることなども、本当に楽しくて子どもの力を伸ばすことができます。当然、単純に遠くに投げるためには、肩の力を鍛えたりする必要があるので、投げる経験も入れてあげてほしいなあと思います。

 

 

 

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