赤ちゃんの運動的発育・発達を邪魔している子育てと解決方法

赤ちゃんの運動的発育・発達を邪魔している子育てと解決方法

アラフォーおじさんこと、JJです。

 

今回は、子どもの体幹について考えていきます。

 

私は、ストレッチポールで有名なJCCAの研修を何度も受け、体幹について考える機会が多くあります。

 

その中で、気になった「赤ちゃんの成長」について、運動面から考えていきたいと思います。

 

 

赤ちゃんの運動的発育・発達について知ろう

【1】体幹とは何か

体幹とは、いろいろな団体で少し違うところもあるのですが、広く考えると「体幹部を構成するすべての骨格、それを支えるすべての筋肉、さらに動きの中で変化し得る軸や重心の総称」です。もっと簡単に言うと、体幹部とは、胴体のことですが、その胴体(体幹部)を中心として、頭の先から指先までの軸バランスや動作中の重心位置なども体幹としてとらえるということ。

つまり、腹筋と背筋とか、そんな単純な物ではないのです。

 

【2】赤ちゃんの運動的発育・発達の順番

ウミガメの赤ちゃんが、卵から孵って本能的に海に歩きだすように、ヒトは、生まれてから本能的に直立二足歩行に向けて発達していきます。これが、1つの赤ちゃんのゴールになるわけです。その発育・発達の順序として、

泣く⇒寝返り⇒うつ伏せ⇒四つ這い⇒腹ばい⇒四つ這い⇒高這い⇒お座り⇒膝立ち⇒立ち上がり⇒立つ⇒伝え歩き⇒歩く

と、赤ちゃんによって多少順序は違うところもありますが、直立二足歩行に向かっておおむねこの順序で発達していきます。

この発達には、すべて意味があり、すべてが体幹(軸)のトレーニングとなっています。

 

例えば、泣く。赤ちゃんは、生まれたとき重力に勝てる筋力が十分備わっていません。大きな声で鳴くことで、腹筋部を大きくつかい、体幹を鍛えていきます。

次に、寝返り。赤ちゃんは、生まれたときは、丸く生まれてきます。つまり、屈曲して生まれてきます。それを伸ばしていくのです。このときに、伸筋群を優位につかい、寝返りを打てるように鍛えているのです。四つ這いもそう。うつ伏せの状態で、胸の筋肉や背筋群を鍛え、四つ這いによって、手足と連動していきます。しかし、まだまだ重心は、二足歩行の位置(腹部)にはありません。胸に重心があります、そして、高這いで、足の指や手の指を体幹と連動してつかうようにして・・・と、専門的に言えば、このように1つ1つが赤ちゃんにとって大事な大事なトレーニングとなります。

 

 

赤ちゃんの運動的発育・発達が不十分な育児環境

【1】愛情が赤ちゃんの運動的発育・発達を邪魔している

ところが、最近は、昔と比べて、この赤ちゃんの発育発達を邪魔しているというのです。例えば、泣く。最近は、育児書などにより「愛情」を受けることの大切さを言われたり、また、アパートやマンションなどに住むことにより「泣き叫んでいると近所迷惑」「育児を放棄しているのではないかという近所の目」などを気にしすぎて、すぐに抱っこをしたりして、泣き止ませようとします。当然、赤ちゃんが、お腹がすいている・おむつが気持ち悪いといった負の感情を、家族がそれらから解放してあげることで、赤ちゃんは安心感を受け、愛情を感じて育ちます。しかし、昔以上に、過保護になりすぎている傾向があり、十分に泣いて育てられていないという現状があるようです。これでは、十分に腹筋群が鍛えられず、寝返りができないまま、大きくなっている子もいると言われています。

また、うつ伏せはあぶないということで、寝返りができないように赤ちゃんの横に柵を置いたり、タオルで障害物を作ったり、座り始めたころは、不安定で危ないからと、こけない椅子に座らせたり、歩行器を使ったりして、ケガをしないようにと赤ちゃんが自ら培っている力を妨害しているというのが現在。当然、ケガは怖いし、家事をしているときに、どうしても離れなければならないこともあります。その補助としてするべき道具であって、自分がテレビを見たい、スマホを見たい・・・と、便利グッズを使いすぎると、十分な発達ができません。

 

【2】二足歩行できたからと言って、赤ちゃんの運動的発育・発達ができたわけではない事実

でも、障害などがない限り、すべての赤ちゃんは、遅かれ早かれ歩けるようになっているというのも事実。しかしながら、それでも、赤ちゃんの発育順番は大切だとJCCAのトレーナーは断言しています。たとえば、うつ伏せを覚えた赤ちゃんは、普段見ていた視界とは違う世界を知ります。それが、面白くて仕方がありません。だから、うつ伏せがしたくて寝返りをうとうとします。それでもできなくて泣いたりします。このときに、親の力でうつ伏せをさせてあげるとどうでしょうか?赤ちゃんは、自分の力でうつ伏せをしなくなり、したいときは、とにかく泣くようになります。また、まだ座る段階ではない赤ちゃんを、座ることのできる椅子に座らせるとどうでしょうか?座ると急に視界が高くなります。これまた、おもしろくて仕方ありません。でも、まだ座るための筋肉はできていません。座る方が面白い。腹ばいをしたくありません。四つ這いも十分できません。でも、座りたくて仕方がありません。やっぱり泣きます。そして、親を呼びます。このように、十分に発育していくべき順番をすっ飛ばして、歩行に入っていくのです。

これは、歯科の先生に聞いた話ですが、発育をすっ飛ばして大きくなった赤ちゃんは、歯並びも悪くなる傾向にあるそうです。

 

 

赤ちゃんの運動的発育・発達が不十分な子ども

【1 】怪我をするのがへたになる

子どもはよくこけます。でも、同じこけたとしても、大きなケガになる場合と小さなけがで終わる場合があります。よく、子どものころにいっぱいこけさせた方が、大きくなってからも顔からこけないなんていいます。でも、それだけではありません。赤ちゃんのころの発育・発達トレーニングが、このこけるときのケガにも大きく関係してくるのです。

例えば、前にこけたとします。顔や頭を打たないために、手が前に出ます。しかし、腹ばいや高這いなどを十分にトレーニングしていない子どもは、このときに、手は出ても本能的に指が伸びません。そうすると、手で支えることができず、結果として顔を打ちます。また、曲げた指では支えることが本能的に怖いので、手がでないという場合もあります。

最近の子どもは、とび箱で突き指をする子が増えてきています。これも、身体を動かしているときに、指が十分に伸びていないこと、指先をコントロールできていないことが原因だと言われています。

 

【2】スポーツが下手になる

最近のスポーツクラブの指導者が、「最近の子は、言われたことができない」と感じているようです。これだけ、昔に比べて、運動科学や運動連鎖の研究が進み、スキルを身に付ける手順なども解明されてきているにも関わらず、昔の子どもの方が、言われたことをできた子が多かったというのです。これも、赤ちゃんのころに十分にそれぞれの態勢での運動が十分でないからだと言われています。つまり、スキルをのせるだけの土台(体幹)が十分できていないのに、言われたことができるわけがないということです。また、スキル習得が体系化されスモールステップで習得しやすくなっているため、指導がうまい人が指導すると、できてしまうこともあります。しかし、体幹が十分にできていない状態では、応用がきかず、また、別のスキル(動き方)を学ぶと前のことができなくなったりもするようです。これでは、せっかく運動をしたい!と思っても、おもしろくありませんよね。結局、根性・努力の問題となってしまいます。

 

 

赤ちゃんの運動的発育・発達を十分させる解決方法

【1】1つ1つが赤ちゃんの運動だと思って大きな心でみる

「泣いているとすぐ抱っこしてあげる」「泣かないようにする」「こけないようにする」だけではなく、ある程度は、泣かせてあげましょう。こけさせてあげましょう。大事なことは、大けがしないようにこけたときに「かたいもの」「とがっているもの」を排除してあげることです。泣いているときも、そばでとんとんしてあげましょう。少ししてから抱いてあげましょう。当然、お腹がすいているときなどは、すぐにあげてくださいね。

 

【2】障害物をすくなくしてあげる

腹ばいやはいはいが始まったら、できるだけもの(障害物)はのけてあげましょう。日本の家は、欧米に比べて狭いところが多く、最近は物が多くなり、広さがなくなってきています。そうなると、赤ちゃんは、十分に動けません。そして、捕まるものが多いと、身に付けるべき運動をすっとばして「つかまり立ち」を始めてしまいます。そうなると、以前の運動はしなくなります。たった1年ほどです。少しだけものをのけてあげましょう。

 

【3】広い公的な育児場所へ出かけてあげましょう

家では十分な広さはないけれど、少しでかければ、赤ちゃんにとっては十分に広い空間が、育児所などにはあったりします。雑菌や汚れなどは、除菌シートを用意して、あとからふいてあげましょう。

 

【4】歩くのが遅くても気にしない

昔は、早く歩けるようになることが、運動できるようになることと思っていた時代もあるようですが、それは間違いです。逆に、その子どものペースで、1つ1つの運動をしっかりとこなして大きくなる方が、結果として体幹の強い子ができます。無理に歩行器に載せる必要はありません。歩く練習をさせる必要はありません。遅くても気にしてはいけません。それよりも、十分に愛情を持って話しかけてあげましょう。

 

 

赤ちゃんの運動的発育・発達のまとめ

いかがでしたか?

きっと、ほとんどの親が、「運動神経の良い子にしてあげたい」「1番じゃなくてもいいから、運動で困らない程度に育ててあげたい」と思い、3歳ぐらいから何をしたらいいだろうと思い始めます。しかし、この赤ちゃんの頃が本当に大事です。体幹という根っこをしっかりと大きくした子どもは、スキルという葉っぱをどんどん身に付けていきます。逆に、体幹という根っこが細くか弱い子どもは、たくさんの葉っぱを育てることはできません。

赤ちゃんが生まれる前に、また、赤ちゃんがうまれたときに、このブログと出会った人は、本当にラッキーだと思います。

ちなみに、私の子どもたちは、こけ方が上手です。足は速くはないけれど、いろんなことを自分たちでやれることを知っています。だから、いろいろ挑戦する子どもに育っています。

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