運動能力を獲得するには旬がある!子どもの運動神経の高め方!!

運動能力を獲得するには旬がある!子どもの運動神経の高め方!!

大学院で学校心理・発達健康教育を学んだJJです。

昨日の新聞で、こんな記事を見つけました。

 

「ふらつく園児26%」

 

どういった内容かというと、最近子どものケガが多いと思った整形外科の先生が調査(2007年)をしたところ、片足立ちで安定しない園児が26%いたということです。

ふらつきの能力とは、バランス感覚です。

子どものころの運動神経は、正直、瞬発力とバランス感覚がほとんどだと私は、思っています。

このふらつく園児が多いというのは、逆に、運動神経の悪い子が増えているということを物語っているのだと思います。

 

では、運動神経は伸ばすことはできるのでしょうか?

 

「自分も、子どもの頃、どんくさかったなあ」

「親が運動神経が悪いから、子どももそうだよね」

 

とあきらめる必要はありません。

子どもの運動神経を高めることはできます。

 

こんかいは、子どもの運動神経の高め方についてお伝えしたいと思います。

 

 

親の運動神経は遺伝するのか?

まず、こうした基本的なことからお話させていただきます。

はっきりいうと遺伝します。そもそも、運動神経とは、骨格や筋肉のつき方なども影響します。そう考えると、身長の高い親の子どもは、背が高くなりやすいように、骨格や筋肉のつき方には、遺伝が関係しているといえるでしょう。そうした視点からも、親の運動神経は子どもに遺伝すると考えていいでしょう。

しかし、運動神経にかぎらず、子どもの形成は、生まれつき決まったものではありません。遺伝と環境の2つが関係しているのです。つまり、環境を作ってあげることで、運動神経を高めることができるのです。

 

 

運動能力を獲得するのは旬がある

 ストレッチポールを広めたことでも有名なJCCAの講習を受けたときに、こんなことを言われました。

「赤ちゃんが生まれたら、立って歩くまでに獲得していくべき運動(発達させていくべき筋肉)には順番がある」と。

 生まれてから、赤ちゃんは、

  仰向け⇒寝返り⇒うつ伏せ⇒四つ這い⇒這い歩き⇒立ち上がり⇒立つ⇒歩く

 という順番に運動能力を獲得していきます(※細かくいうと、座るなども入ってきます)

 しかし、人間(動物)の本能は、立ち歩くことが最終目的なので、それに向かっての発達なのですが、こうした順序を無視して歩いてしまうと、必要な運動能力の基礎を身に着けないまま大きくなるので、いわゆる基本的な体の使い方が身につかないまま大きくなるというのです。

 基本的な動きができていない状態で、野球のスイングがどうのこのうとか、サッカーでシュートの仕方がどうのうこうのと指導しても、そもそもの基礎ができていない状態ではできるようになるはずがありません。

 しかも、日本は、欧米に比べて座ったり四つ這いをしたりせずに、立ち歩く赤ちゃんの割合が高いそうです。これは、日本の家屋が狭く手を伸ばして物を持ち立つことができる環境が大きく影響していると言われています。

 しっかりと生まれてから立つまでの過程をしっかりと身につけることができれば、運動能力は高まるということです。

 どんな動きを身につけるにしても、身に着ける時期(旬)はあるのです。

 つまり、赤ちゃんのころに獲得できなかった動きは、旬をすぎているので、練習量も必要以上にかかるということです。

 

 まず、自分の赤ちゃんが生まれたら、無理やり歩かそうとせず、また、無理やり座らせたりせず、環境を整えて、自然にその動きを獲得させてあげてください。

 歩行器やバンボ(座らせる椅子)などは、安全面で必要なときはあるでしょうが、あまり使用しない方がいいでしょう。

 座るという行為の中で働くバランス感覚もあるのですから。

 

 

 

動きはスポーツで身につけるのではなく、多様な遊びでみにつける

 

 運動神経とは、野球がうまいとか、サッカーがうまいとは別ものです。だから、小さい頃から英才教育的に野球やサッカーなどのスポーツをさせる必要はありません。逆に、自分の運動能力を高めることができていれば、基本的には、10歳~18歳までのいわゆる思春期に、スポーツを始めれば、大概のものはできるようになります。

 また、野球をやっていれば運動神経がよくなるというものではなく、多様な動きを経験しておくことで運動神経を高めることができるのです。

 例えば、鬼ごっこ。

 この遊びには、「走る」「切り返す」「かわす」「止まる」・・・など、多様な動きが入ります。陸上で真っすぐに決められたところを走るのではなく、動く目標を見ながら、その動きに合わせたり予測して動く・・・。こうした能力の方が臨機応変に対応できる運動神経を高めることができるのではないでしょうか。

 まさに、幼児期は、多様な動きを身に着けやすい旬な時期なのです。

 では、親はどうすればいいのか?

 環境を整えて見守っておくのです。

 できたことは、周りと比べずに「ほめ」て、子どもがどんどんいろんなことにチャレンジできるように応援してあげましょう。

 

 

運動神経を高める環境の整え方

①家の中を整える

この前、友達の家に遊びに行ったときに、子どもが登ったら危ないなあと思うようなはしごがありました。その家には、3人の子ども(7才、5才、3才)の子どもがいたのですが、7才、5才の子は、すいすいと上まで登って、手を離したりしています。それを見ている3才の子も、危なっかしいですが、上まで登って、「きゃっきゃ」と遊んでいます。

まさに、環境が子どもを育てています。

最近では、室内用のジャングルジムやトランポリンなどが販売されていて、それを登ったり、手を放して立ったり、飛び降りたり、子どもは毎日のようにその動きを遊びの中で反復練習しています。

おじいちゃんやおばあちゃんの家に行ったときなんかは、廊下が広いので、おもいっきり走り回っています。

子どもは、その環境の中で遊びながら育ちます。

アパートなどでは、どんどんと下に響いて危ないでしょうから、近くに公園があるところに住んだりすることも工夫の1つだと思います。

公園では、自分よりも大きいお兄ちゃんやお姉ちゃんが、見本のように動いてくれます。それを見ているだけでも、どんどん能力が高まっていきます。

 

②安全を整える

 しかし、いろいろな動きを見つけるということは、できるようになることが増えるということ。その反面、ケガも増えてきます。

 とくに、高いところから飛び降りたり、前回りをしたりするなど、本来なら発達段階的に早いなあと思うこともできるようになったりします。

 見守ることも大事ですが、「これはしてほしくない」「まだ早い」と思うことは、2つの方法で安全を整えてあげましょう。

 1つ目は、その動きから起こりうる事故を予測して、クッションを置いたり、危ないものをのけるということです。これは、親の役目です。

 2つ目は、褒めないということ。否定する必要はありませんが、親のリアクションが薄いと、子どもは、それほどやりたがりません。逆に、親が褒めたり、あたふたしていると、親の反応があるので、子どもはやりたがります。推奨したくないことは、リアクションは薄くが基本です。

 まあ、本当に危ないことは叱ってでも止めてくださいね。

 

 

運動神経の悪い子が増えているのは現代社会の被害者なのかも

 こうした側面も知っておきましょう。

 今の子どもたちは、外遊びをしていてもすぐにやめて別の遊びをし始めます。

 公園のベンチやブランコに座って、携帯ゲームを楽しそうにしている子どもをよく見かけませんか?

 小学生ぐらいになると手紙のやり取りなって昔の女の子はやっていましたが、それが今はスマホや携帯ゲームでやり取りをしています。

また、こうした携帯ゲームの時間が長い子は、片目でものを見ることが多くなり、卓球や野球といった動いているものを打ち返すときに空振りが多くなるというデータも発表されています。

 本来なら、いろいろな運動能力が一番高まる小中学生の時期に、携帯ゲームばかりに目を奪われてしまっているのは、子どものせいとはいいきれません。

 それは、携帯性の高いゲームや対戦型ゲームが増えていること。ログイン回数でアイテムやポイントをもらえたり、毎日ゲームをするようにうまく作られている内容のせいでもあります。

 昔は、友達がいないとおもしろくない遊びが、家にいながら通信で対戦できたり、話ができたり、体を動かさない生き方や娯楽があふれている現代社会の歪なのかもしれません。

 

 

まとめ

 いかがでしたか?

 運動神経を高めてあげることは、将来やりたいことができるということに直結します。

 無理やりやらせる必要はありませんが、遊び場を作ってあげれば、自然と子どもは、その環境に合わせた動きを獲得していきます。

 極論かもしれませんが、はだしで野原などの本来走るようにできていないでこぼおしたところや角度のあるところを走り回り、木のぼりや岩登りなど、本来登るためにできていないものを登ったりするとこで、運動能力は大きく発展する気がしませんか?

 今の時代は、安全性を重視するあまり、遊び自体も簡単になっています。

 だからこそ、まだまだ一人で遠くまで行かない親が見守れる小さい頃に、いっぱいいろんな経験をさせてあげることが大事なのではないでしょうか?

 

 

 

 

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