算数を苦手にしない!算数を得意にする子育て方法!!

算数を苦手にしない!算数を得意にしてあげよう!!

大学院で学校心理・発達健康教育を学んだJJです。

 

私は教育界に約20年いて思っていたことがあります。

算数が苦手な子は、ずっと算数が苦手だと。

そして、得意な子は、ずっと得意だと。

 

中学、高校ぐらいになるとちゃんと勉強をしないと数学はできなくなります。

しかし、小学校レベルなら、数学的思考ができる子は、勉強しなくてもできてしまうのです。

でも、どんなに一生懸命勉強しても、数学が苦手な子は、本当に苦手です。

 

しかし、私の学級になった子は、算数ができるようになります。

例えば、5年生を担任したとき、4月に行った4年生のまとめテストでは、平均点の差が私のクラスは、隣のクラスよりも10点も低かったのです。

それくらい、算数の苦手なクラスでした。

それを5年生の終わりのまとめテストでは、隣のクラスとの差は、たった1点にまで縮まりました。

「なんだ、抜かしてない」と思うかもしれません。

しかし、30人いた学級で、平均点を9縮めたということは、みんなで約290点も縮めたということです。

これは、すごいことです。

 

さて、それではなぜ私の学級は算数の点数が上がるのか?

それは、たったこの2つのことに注目できているかどうかです。

①基本を考えさせようとしすぎるクラスは、算数ができなくなる

②どうして間違えるのかを考えずに、正解を教え込もうとすると算数ができなくなる

正直、この2つです。

 

 

基本を考えさせようとしすぎるクラスは、算数ができなくなる理由

基本を考えることはとっても大事です。

それは、理解しています。

これは、今の学校がそうなのですが、例えば、5年生で三角形の面積の公式(底辺×高さ÷2)を教えずに、三角形の面積を出させます。つまり、4年生までに習ってきたことを使ってとりあえず、三角形の面積を出させるのです。そして、最終的に、まとめとして、(底辺×高さ÷2)という公式に結び付けます。すごく理にかなっているし、授業をしていても楽しいです。

でも、ここに主をおいても、算数が苦手な子はできるようにはなりません。つまり、4年生までの算数ができないと、算数が苦手な子は、お客様状態なのです。できる子の意見を必死に聞いてやっと理解したと思ったら、「公式はこうです」とまとまってしまう。そして、必死に聞いて理解できるなら、4年生までに算数ができるようになっていると思いませんか?

そう、「聞いていて理解できない」時間が、5分も10分も続いたら、集中力はなくなります。授業が面白くなくなります。そして、算数が嫌いになります。

大事なことは、習ったことをその日に使えるようにしてあげる時間を確保するということです。

 

 今の学校の授業時間配分

  ①問題提起(5分)

  ②問題を既存の力で自力解決(10分)

  ③問題を既存の力でみんなで解決(25分)

  ④今日習ったことを使って問題を解く(5分)

そして、練習時間を宿題で確保します。こうなると、宿題では親の力を借りれる子がいます。

そうすると、テストをしてみないと、その子が何を理解していて何をしていないかが最後まで分からないのです。

 

私のクラスはこうでした。

 ①問題提起(5分)

 ②問題を既存の力で自力解決・グループ解決(10分)

 ③問題を既存の力でみんなで解決(15分)

 ④今日習ったことを使って問題を解く(10分)

 ⑤まとめ(5分)

約15分問題を解く練習時間を確保しています。公式を求める問題でなければ、30分ぐらい確保できることもあります。

そうすることで、だれができていないか?何ができていないか?が分かります。その時間に「できた」という体験ができる子は、算数が好きになります。

算数が苦手な子で、親の力が借りられない子には、同じプリントでもつまずくところが分かっているので、「ここまでやっておいで」とこっそり伝えておけます。

できる問題なので、その子も宿題を進んでします。できない問題も必死で考えてくることもあり、大いに褒められます。できていない問題を、先に親に伝えておくことで、お家の人もいらいらしません。

どんどん算数が好きになっていって、いつの間にか、できるようになるのです。

 

 

大人の私たちでもそうです。

算数ではないですが、「これから米ドルの為替はどうなると思いますか?」と聞かれてて、あなたは答えられますか?正直、為替に知識がない人は、語れませんよね。

でも、アメリカと日本、世界の社会情勢の知識を知り、これまでの為替の変動傾向を知り、未来こうなるのではという予測を知ることができれば、「為替」について予想を語れるのではないでしょうか?

つまり、基本とは、知識の集合体なので、そもそもしっかりと知識として獲得しておくべきこと。知識とは、使えるようにすることが大事であって、獲得することとは別に考えた方が効率的なのです。

 

 

どうして間違えるのかを考えずに、正解を教え込もうとすると算数ができなくなる

さて、ここにも矛盾があるのです。あれだけ、基本の公式を獲得させようと授業をしてきたのに、間違える子には、「三角形の公式を使ったらできるでしょ!」と、公式を使わせて正解を出させます。これは、ある程度は仕方のないことかもしれません。しかし、その子がなぜ間違えたのかを分析していない先生があまりにも多すぎるのです。

例えば、三角形の面積が出せない子の理由って何でしょう。

 ①そもそも公式を覚えていない(公式が整理できていない)

からなのでしょうか?

 ②底辺と高さを探せない

ということも、考えられます。

 ③底辺と高さそのものが分かっていない

のかもしれません。

 ④そもそも面積とは何かが分かっていない

のかもしれません。

 

やる気がないことも考えられます。その子が間違える理由(思考)を解明せずに、ただひたすら正解を教えていても算数はできるようにならないのです。その子が、何につまずいているのかを知ったうえで、正解へ導くことが大事です。

 

 

算数が苦手にならないように小さい頃にやっておきたいこと

 例えば、計算が苦手な子は、公文やそろばんを習わせればなんとかなります。つまり、努力できる子にさえしていれば、計算は何とかなるのです。

 それでも、公文に行っていて、計算ができても、数学的思考力のない子にはよく出会ってきました。

ただ、計算ができると、ここにつまずきがないので、算数が苦手な子でも、ハードルは数学的思考だけになるので、計算力をつけておくことは意味のあることです。

 

さて、小学校段階で

 私が注目しているのは、数字の意味「0」の概念です。

 数字の意味とは、「3」があったとしましょう。

 「3」とは、「1,2,3」個という意味と、「3番目」という意味、「3月、3番」などの意味があります。

 「0」とは、簡単にいうと「ない」ということです。

 「ない」は見えないです。しかし、算数では、このないのも「0」として見えるのです。

※ほかにも、0には、「基準」という意味もありますが、ここでは置いておきます。

 このあたりをしっかりと理解していれば、小学校で算数につまずくことが少ないでしょう。

 

それでは、これらの概念を獲得するためにさせておきたいことをお伝えします。

 

①指を数えさせる

 人間の基本は、指です。指は10本あります。数字は、基本的に10進法です。これを利用しない手はありません。

 例えば、「姫路」という言葉は、何文字ですか?と聞かれたら、3文字とすぐ答えられるでしょう。

 でも、「私は姫路市生まれです。」は、何文字ですか?と聞かれたら、指で数えますよね。大人でも、指を折って数えることはあるのです。

 指を数えさせることは、算数の基本だと思います。5と5で10なんてこともすぐに覚えていきます。

 

②数を経験させる

 3才ぐらいから(早い子はもっと早く)、数を数えることはできます。はじめのころは、ぱっと見て数えることはできませんが、指をさしながら数えるでしょう。そうしたことを経験させてください。お手伝いや遊びの中がいいと思います。おやつやごはんのときもいいでしょう。

 始めは、5こぐいらまででいいと思います。

 おかずを取り分けたり、ブロックやつみきを分けたりすることで、どんどんと

「何個ずつに分けて」

「何個ある?」

とか、数を数える経験をさせてあげましょう。

いつの間にか、ぱっと見て数えられるようになります。

 

③数を増やしたり減らしたりを経験させる

 私の家がよくやったのは、

「何を食べたでしょう」ゲームです。

もともと、ご飯を食べたがらない息子にやってみたら「数の勉強になるなあ」と思ったゲームです。

ご飯を食べたがらない息子に

「何を食べたか当てるから」

と言って、私は、目を伏せました。すると、息子が

「いいよ」

と言って、顔を上げます。

「あ、トマトが3つあったのに、1つ食べて2つになってる。だから、トマトだ。」

など、説明して正解をします。

数が難しいものは、「減っている」「形が変わっている」など、変化で説明します。

わざと間違えるのも面白いです。

そんな風に、数が変わるということを経験させてあげてください。

 

④数を比べる

 これも、すごく大事です。つまり、どっちが多い?大きい?ということです。

 おやつやブロックなど、日常生活や遊びの中で、自然に数を比べさせてあげたいですね。

 

⑤ないを経験させる

 これは、急ぐ必要はありません。

 数字になれてきたらで大丈夫です。

 だから、小さい頃にできることは、「なくなった」「ない」を意識させることです。

 また、「分けられないものを分けさせるのもいい経験です。」

 家でやったのは、2個しかないおやつを3人で分けるということです。

 まず、「分けられない」ということを言います。

 これでいいのです。

 そして、次に、「切る」ということを言い出します。

 これは、小数や分数(1を分けるが小数や分数の基本)の概念につながります。でも、そこまで意識する必要はありません。

 

 

まとめ

 例えば、低学年の頃、計算が苦手だった子や時計ができなかった子、cmや㎜ができなかった子がいたとしても、高学年になっても、たし算ができない、時計ができない、cmや㎜ができないということは、普通に勉強していたらありません。つまり、日常生活の中で、たし算やひき算の概念、時計、定規などは使うからです。だから、安心してください。

 それでも、算数が苦手で困ったことのあるお家の方は何とかしてあげたいと思うのではないでしょうか?

 大切なことは、「努力できる子」にしてあげることの方が大事です。「追求できる子」にしておくことの方が大事です。「興味を持って取り組める子」に育ててあげましょう。

 また、日常生活では算数を小学校生活レベルでしか使いません。しかし、算数は計画的思考力(段取り力)を鍛えるものでもあります。

 点数だけでなく、そうした算数の側面も楽しんでほしいです。

 

 今回、あげた5つのことは、無理やりさせるのではなく、自然とさせてあげたいですね。自然に、数字を使って会話をすることをしてみましょう。

 

 

 

補足

 私の友達の子どもで、幼稚園の頃から小学校のワークやドリルをさせている子がいました。低学年で、100マス計算(たし算)が、小学校の10位以内に入るような子にまでなっていました。しかし、勉強ができる反面、授業を聞かなくても勉強ができるので、授業を聞いてなかったそうです。先生も、授業態度は注意するものの、勉強ができるので、そこまで注意しなかったようなのです。習い事も、小学校4年生には、全部やめてしまいました。

 そして、中学生になり、勉強がどんどんできなくなりました。どんなに、小学校で勉強ができても、大事なことは、「努力できる子」を育てることです。

 

 私の教え子の話ですが、すごく一生懸命な子でしたが、算数ができませんでした。その子ができないところを分析して、特別プリントを週に2回渡してあげていました。算数の点数は上がりましたが、算数が得意になったわけではありませんでした。あと、ノートのとり方も教えました。

 中学生になって、年賀状が届きました。そこに、「何とか数学ができています。先生のおかげです。」と。その子は、きっと数学を暗記科目のようにがんばっているでしょう。でも、努力できる子だったからこそ、希望の高校にも合格しました。

 もう1度いいます。大事なことは、「努力できる子」を育てることです。

 

あわせて読みたい