ほめて育てるは、本当に古いのか?

ほめて育てるは、本当に古いのか?

こんにちは。

大学院で教育心理学・発達教育心理学を学んだJJです。

一昔前は、「ほめて育てる」ということがもてはやされました。

しかし、今は、「ほめて育てると弱い子になる」というような記事が目立つようにました。

 

これは、学校教育が「詰め込み教育」から「ゆとり教育」に変わって、「ストレスに弱く、いわれたことしかできない」子が増えたと言われるようになったのと似ている気がします。

本当に、「褒めて育てる」は古いのか?

 

このブログをわざわざ読んでくださっている方は、本当に意識の高い親だと思います。

すばらしい親だと思います。

そんな悩んでいる方の助けになればと思います。

 

 

ほめると叱るの効果の違いの実験結果

ある実験を例に話をします。

学力が同じぐらいの小学生を3つのグループに分けてこんな実験をしました。

毎回勉強をして、毎回テストをして、毎回平均点を出すという実験です。

  • Aグループ 勉強中、先生は何も言わない
  • Bグループ 勉強中、先生は、よく叱る
  • Cグループ 勉強中、先生は、よくほめる

さて、この実験はどうなったのか?

  • Aグループは、実験中平均点はさほど変化なし
  • Bグループは、はじめは平均点がぐっと上がったが、徐々に下降
  • Cグループは、平均点も常に上がり、それを維持

この実験から何が分かるのか?

  1. 先生がほめたり怒ったりしなければ、何も変わらない
  2. 先生が怒れば、はじめのうちは効果はあるが、徐々になくなる
  3. 先生が褒めれば、子どもははじめのうちは怒るほどの効果はないが、しっかりと伸びる

 

つまり、叱ることで叱られたくないからがんばる子どもができるというわけです。でも、それも長くは続かないということなんですね。逆に、褒められると子どもはうれしいわけです。即効性はないけれど、どんどん自信をつけていき、がんばるようになるというわけです。

 

 

めて育てる本当の力

確かに、最近の子どもは、弱いという印象を受けます。

仕事柄、親や子どもと接することが多かった私は、そう感じていました。

でも、それが「褒めて育てた結果」とは考えられないのです。

まず、どうして「褒めて育てる」が言われ始めたのか?

 

それは、叱ってばかりだと、

⇒自分に自信がなく劣等感を持って子どもは育つ

⇒自分はできない人間だと思い込む

⇒人の顔色ばかり見て自分の考えや行動をするようになる

⇒自分はできないという心がつらくなって、周りのせいにし始める

⇒自分のことが嫌いになる

⇒・・・・

 

つまり、反対の「褒めて育てる」ことで

自信を持ち、人の顔色を見ず、自分で考えて自分で行動できる。

周りのせいにせず、自分のことが好きで、失敗しても次がんばれる・・・

となるはずなんですね。

でも、本当に、褒めて育てるだけでこういう子どもに育つのでしょうか?

 

大事なことが抜けていると褒めているだけでは、

ただ甘やかされているとしかならないんですね。

ここを指摘せず、褒めて育てるは間違っているというのは違うということです。

逆に、叱ってはいけないわけではありません。叱りすぎはよくないけど、叱る効果もあるんです。

 

 

ほめて育てるにつけたしてほしい考え方

〇結果ではなく過程をほめる

褒めて育てると「ストレスや本番に弱くなる」と言われます。

ストレスや本番に弱くなるのは、結果を褒めるからなんです。

 

これにもこんな実験があります。

だいたい同じぐらいの学力の小学生を3つのグループに分けてテストをしました。

  • Aのグループ テストの結果を見ても、ほめたり怒ったりしなかった
  • Bのグループ テストの結果をほめた
  • Cのグループ テストをがんばっていたことをほめた

そして、このあとに、難しいテストと簡単なテストを用意して、どっちにチャレンジするかという実験です。さて、どうなったと思いますか?意外な結果です。

  • Aのグループは、難しい方、簡単な方もだいたい同じぐらいとりました。
  • Bのグループは、簡単な方をとる子が多くなりました。
  • Cのグループは、難しい方をとる子が多くなりました。

どうしてこうなったのか?

Bは、結果をほめられたので、次も結果を出さないとと思う子が増えて、プレッシャーになり簡単なテストをとり、結果を出そうとした。Cのグループは、結果は気にせず、がんばろうと思って難しい方にチャレンジする子が多かったというわけです。

普段から結果ではなく、がんばっている姿をほめてあげることでやる気がでます。そして、子どものうちにたくさん失敗するんです。その経験が、失敗しても乗り越える力になるというわけです。

 

まとめ

褒めて育てると弱い子ができるわけではありません。褒める視点が間違っているのです。叱るも同じなんです。結果をしかるから駄目だんです。結果ではなく、がんばらなかったことやあきらめたことを叱ることが大事なんです。そして、何よりも大事なのは、子ども自身が「何を褒められているのか」「何を叱られているのか」を納得できることが大事です。

例えば、自分の子が野球をしていたとします。思いっきり振って三振したとします。

「何やってるんだ!三振なんかして!」と結果を叱るのと「思いっきり振れたね。打つぞという気持ちが伝わったよ。次は、打てるように練習しよう。」というのと、どっちの方がやる気が出そうですか?

逆に、見逃し三振したときに、「見逃し三振して何やっているんだ!」と結果を叱るのと、「振らなきゃあたらないぞ!」とか、「ボールがストライクかしっかりと見極める力が必要だな。」と、何がいけなかったのかをしっかりと指摘してあげる叱り方と、どっちが子どもの成長につながりそうですか?

答えを言いすぎるのもだめですが、子どもが「怒られた」と思うことよりも、次どうしようと前を向ける声のかけ方がいいですよね。

 

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